はじめに:なぜDXは失敗するのか
― それは、技術ではなく経営の問題かもしれない ―
なぜ、DXはうまくいかないのでしょうか。
ツールが悪いのでしょうか。
ITリテラシーが低いからでしょうか。
現場が抵抗するからでしょうか。
それとも――
経営として、本当にやり切る覚悟があるのかどうか。
私たちはこれまで、大企業のIT戦略にも、中小企業のDX支援にも、公的支援機関の内側にも関わってきました。
その中で、何度も同じ場面を見てきました。
プロジェクトは立ち上がる。
議論もする。
補助金も通る。
それでも、プロジェクトはうまくいかない。
なぜうまくいかない、失敗するのでしょうか。
関連サービス
「Power Platform と Copilot Studio で実現するAIエージェントと自然言語による業務自動処理実践ガイド」無料提供中
困っていない経営は、動かない
紙の伝票を毎月何百枚も手作業で確認している会社がありました。
改善案も出そろい、補助金も採択され、システム化の実行段階まで進みました。
それでも、最終的に経営層の判断でプロジェクトは止まりました。
会社は無借金でした。
利益も出ていました。
今のままで”作業”は回っている。
では、なぜ変える必要があるのか。
その問いに、明確な答えがなかった。
困っていない経営は、動きません。
これは正しい判断だったのでしょうか。
それとも、未来への投資を先送りした判断だったのでしょうか。
手法ではなく、意思決定の問題
一次産業の現場で、ローコードとアジャイル開発の手法を用いてシステムを構築したことがあります。
現場レビューを幾度も繰り返しました。
恐らく開発手法としては理論的には、理想的なプロジェクトの進め方でした。
それでも、システムは定着しませんでした。
なぜでしょうか。
本当に、そのプロジェクトは「経営の優先プロジェクト」だったのでしょうか。
失敗したら困る投資だったでしょうか。
それとも、失敗しても大きな痛みはない投資だったでしょうか。
痛くない投資は、本気になれない。
それは現場の問題でしょうか。
それとも、経営の意思決定構造の問題でしょうか。
支援する側の意識は十分か
公的な支援機関の職員向けにExcel研修を行ったことがあります。
テーブル機能やピボットテーブルといった、基本的な内容です。
データを構造化し、可視化し、そこから意味を読み取る。
しかし、その発想自体が業務の中心になっておらず、Excelを正しく使う意識が希薄でした。
これは、
個人の能力が低いのでしょうか。
それとも、
ITを学ぶことが評価に直結しない制度設計の問題でしょうか。
構造が変わらなければ、人は変わらない。
では、公的機関や支援機関の仕事の範囲や評価制度は、どのように規定されているのでしょうか。
日本の強みは、これからも強みか
日本は、すり合わせの文化で成功してきました。
精緻に作り上げ、完成度を高め、完璧な製品を世に出す。
しかし、ソフトウェアやAIの世界ではどうでしょうか。
完璧になるまで出さない経営と、
小さく出して、速く直す経営。
どちらが、今の時代に合っているでしょうか。
私たちの強みは、これからも強みであり続けるのでしょうか。
それとも、変えるべき領域はないでしょうか。
IT格差は、AI格差へ変わる
過去数十年間のIT活用の進展において、活用を進めた企業とそうでない企業の差は広がりました。
しかし、AIは活用する者とそうで無い者の差をさらに加速させます。
ITは効率化でした。
AIは、組織能力の拡張です。
使う企業は、毎日着実に強くなる。
使わない企業は、昨日と同じまま。
この差は、2次曲線的に広がります。
数年後にどれくらい広がっているでしょうか。
人口が減る社会で、
人手が足りなくなる未来で、
私たちはITやAIに対してどの様な選択をするのでしょうか。
AIは脅威でしょうか。
それとも、未来の光明でしょうか。
変わるきっかけは、外にある
構造は、内側からだけでは変わりにくい。
私たちは地方に根を張りつつ、首都圏でのビジネスを経験し、外資系企業で海外の現場も多く見てきました。
外に出ると、基準が変わります。
今のビジネスのスピードが普通なのか。
ITやAIに関する情報はリアルタイムに吸収できているのか。
感じている危機感や将来のために変革を起こせているのか。
経営の「当たり前」は、置かれている社会や文化によって異なります。
私たちは、自分たちの基準が正しいと、無意識に思い込んでいないでしょうか。
「経営者のためのDX思考」で問い続けたいこと
この「経営者のためのDX思考」の連載では、答えを押しつけるつもりはありません。
ただ、問いを投げかけ続けたいと思います。
- なぜITやDXのプロジェクトはうまくいかないのか
- なぜ構造は変わらないのか
- AIの進展は私たちに何を迫っているのか
DXは、ITの話ではありません。
経営が、どんな未来を選ぶかという話です。
そしてその選択は、静かに、しかし確実に、差を生みます。
AIの時代においては、2次曲線的に差が広がります。
変わらないという選択も、また一つの経営判断です。
しかしながら、その結果を引き受ける覚悟があるのか。
それを、この連載で問いたいと思います。
まとめ:経営への問い
DXが進まない理由はツールの良し悪しではなく、優先順位と意思決定の問題かもしれません。
変わらないという選択も、ひとつの経営判断です。
しかしながら、人口減少とAI時代の中で、今の構造のままで、本当に存続し続けることは出来るでしょうか。
AI活用やPower Platformなどの現場へのツール導入は、単なるシステム導入ではなく、経営設計の問題です。
優先順位・役割・評価制度まで踏み込んで設計する必要があります。
構造を設計せずに進めれば失敗します。
構造から設計すればDXは定着します。
======
- DX構想はあるが進まない
- AIをどう活かせばよいか分からない
- 導入したが広がらない
======
そのような経営者の方は一度ご相談ください。
初回は無料です。



