はじめに

業務アプリを簡単に作成できるkintoneとMicrosoftのPower Platform(Power Apps / Power Automate / Power BI + Dataverse)について、「どちらが良いのか?」というご相談を受けることがあります。

kintoneで開発したアプリをPower Platformへ移行する企業も増えているようです。

どちらも業務改善を実現するローコードプラットフォームですが、 中長期的な視点での拡張性や経営戦略に照らし合わせるという観点で、Power Platformを選択するケースが多いようです。

本記事では、戦略的な視点でよく評価されているPower Platformを選ぶべき8つの理由をわかりやすく解説します。

Power Platform

1.全社横断の自動化・統合がしやすい

kintoneではアプリごとに完結したワークフローを作ることは出来ますが、アプリを超えて他のシステムと連携したり、組織横断的な業務プロセスを統合したりすることは苦手としています。

一方でPower Platformは、企業全体での組織横断的な業務プロセスも自動化しやすいプラットフォームになっており、次の様な点で優れています。

  • Power AutomateとMicrosoft 365が統合されており、日常的な業務とシステムの統合が容易に可能
  • 申請や稟議に係る承認フローを全社統一のテンプレートとして運用可能
  • 異なる部門や様々なシステムをまたいだ連携システムの開発が容易

結果として、部署単位の組織やプロジェクト単位でのアプリ開発ではなく、全社レベルでの業務の自動化やDXの推進を進めやすくなります。

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2.データ基盤としての拡張性の高さ

Power Platformは、Dataverseと呼ばれるデータベースを核としたデータ基盤を持っています。

Dataverseは、Power Platformを構成する様々なツールから利用できるだけでなく、Web APIと呼ばれる仕組みを利用してPower Platform以外の他のシステムと連携させることも出来るため、様々なアプリやシステムを横断的にデータ統合・整合させることが可能です。

  • 全社的なデータの正規化や標準設計が可能
  • 複数のアプリケーションで同一のデータモデルを共有可能
  • SQL ServerやAzure、様々なデータベースやシステムとの連携でデータ分析基盤との統合が容易

一方でkintoneは、アプリごとにデータが分散してしまうため、データの横断的な管理や共有、分析システムとの統合などが困難になるケースがあります。

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3.大量データ処理・履歴管理への対応力

Power Platformでは、Dataverseやデータフロー(ETLツール)と呼ばれる機能を利用し、大量データの収集・集計・分析を行うことが出来ます。

特にPower BIを活用することで、データ分析に大きな威力を発揮し、例えば、年度をまたいだデータの意分析も容易になります。

  • 何百万件単位のデータを扱う業務や分析に強い
  • 年度をまたいだデータ履歴やタイムライン分析が容易
  • Excelベースの分析からの脱却が進む

kintoneでもデータ保存は可能ですが、データ容量に上限があり、データ量が増えると 検索性能や画面表示のレスポンスに影響が出る場合があります。

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4.分析・経営ダッシュボードの統合力

Power Platformを構成するPower BIは、組織全体のデータを分析したり、KPIを可視化したりするための分析基盤として多くの企業で活用されています。

Power BIでは、単純な分析・ダッシュボードの機能だけではなく、次の様な様々な機能を提供しています。

  • ダッシュボード起動時点での分析結果を表示するリアルタイムダッシュボード構築が可能
  • 分析結果を関係者へ自動共有したり、更新スケジュール設定し定期的に分析結果を配信可能
  • AIによるインサイト分析や予測機能などを実装することが可能

kintone単体では簡易的なグラフは作成できますが、経営視点の分析基盤としては Power BIに軍配が上がります。

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5.Microsoft 365とのシームレスな連携

Power PlatformはMicrosoft 365と統合されたプラットフォームとして動くため、Outlook・Teams・SharePoint・OneDriveなどのMicrosoft 365が提供している様々なツールとの連携が標準で可能です。

例えば次の様な機能が統合されています。

  • Teamsへの自動通知や投稿受信機能などの連携
  • Outlookと連携したメールの送受信やタスク、予定の設定などの連携
  • SharePointに保存されたファイルをトリガーに業務フローを実行するなどの連携

この様な連携機能は、追加のプラグインやプログラム開発を必要とせずに実現できる点が大きなメリットです。

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6.セキュリティ・ガバナンス基盤の強さ

企業が全社で使う基盤として重要なのがシステムに対するガバナンスとデータやシステムの保護です。

Power Platformは、Azure Active Directoryと呼ばれる認証・セキュリティの仕組みを基盤にしているため、セキュリティ・アクセス権限の設計について柔軟に対応できます。

  • スマートフォンなどを活用した多要素認証の統合
  • 部門・役職ごとの細かなアクセス制御
  • 監査ログ・コンプライアンスログの保存・管理

kintoneでもアクセス制御はできますが、ID基盤・ログ統合の面ではMicrosoftのプラットフォームに軍配が上がります。

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7.AIとの連携・統合を前提にしたプラットフォーム設計

今後の業務改善・DXにおいて、AIをどう業務に組み込めるかは極めて重要な視点です。

この点において、Power Platformは、AIとの統合を前提に設計されたプラットフォームであることがkintoneとの大きな違いの一つです。

例えば、次の通り実装されています。

  • AI Builderによる帳票の読取・分類のノーコード実装
  • Azure OpenAIやCopilot と連携したAIによる業務支援機能
  • Power AutomateからAI処理機能を呼び出し、業務フローへ組み込み可能

これにより、問い合わせ内容をAIで自動分類し、適切な部署へ振り分けたり、申請内容をAIが事前チェックして不備を検知したりといった「人の判断を支援するAI活用」を既存業務フローに実装できます。

kintoneでも外部AIサービスとの連携は可能ですが、多くの場合は個別開発などが前提となります。

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8.長期的な投資対効果(TCO)とエコシステム

企業がツールを選ぶ際、導入後のランニングコストや拡張性、教育コストなどについても検討することが重要です。

Power Platformは、Microsoft 365の各種ツールや機能だけでなく、利用料金についても様々なライセンスのプランを組み合わせて導入できるため、TCOを抑えつつ活用することができます。

  • 既存のMicrosoft 365ライセンスと組み合わせて導入が可能
  • Microsoft が今後提供してくる様々なAI関連の機能にも拡張対応可能

結果として、単なる業務改善用のツールとしてだけでなく、全社的なDX戦略として活用を進めていくことが出来ます。

まとめ:まずはご相談を

kintoneは、簡単な業務改善や現場を起点とした改善に強いツールですが、企業全体の横断的な自動化・データ統合・経営分析という観点ではPower Platformの方が優位であると言えます。

特にMicrosoft 365を活用している企業では、Power Platformの導入が「自然な戦略」と考えることが出来ます。

CIOコネクティッドでは、お客様の状況や課題に応じて、kintoneとPower Platformの評価、設計、開発、定着化支援まで一気通貫で対応しています。

「自社に最適なツールは何?」と、ご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。