三つの失敗を突き詰めると、なぜ「構造の問題」に行き着くのか

― 三つの失敗は、別々の話に見えていた ―


ここまでの三つの記事では、それぞれ異なる失敗事例を取り上げてきました。
一つは、安定した収益基盤を持つ企業で、紙伝票処理の見直しを含むDXが止まった事例でした。
もう一つは、現場入力やデータ活用の構想がありながら、経営の関与が薄いまま進んだために定着しなかった事例でした。
そして三つ目は、支援機関の職員向けにExcel研修を行ったにもかかわらず、データを見て考える仕事が日常業務として広がりにくかった事例です。
表面だけを見ると、これらはまったく別の失敗に見えます。
ある会社では経営判断が止め、別の現場では制度が動機を弱め、別の会社では経営が会議に出ないことが問題になっていたからです。
けれども、少し引いて眺めると、三つとも同じところでつまずいていたように思えます。
それは、ツールの問題でも、個人の能力の問題でもなく、組織の中で人がどう動くかを決めている構造の問題でした。

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第4回DX失敗総括挿絵

DXは良いツールを導入すれば良いわけではない


DXの議論では、どうしてもツールの話が主題になりがちです。

どのツールを導入するのか?
どんな機能があるのか?
AIを組み込めるのか?
ローコードで開発しやすいのか?

もちろん、そうした検討は必要です。
しかし、現場で本当にDXが進むかどうかは、ツールの性能だけでは決まりません。
なぜなら、システムを使うのは人であり、その人の行動は、所属している組織の構造に強く規定されるからです。
例えば、非常に便利なツールを導入し、使いやすい仕組みを開発しても、その仕組みを使うという仕事が経営の優先順位に入っていなければ使われなくなることがあります。
分析ができる環境を整えても、それが仕事として評価されなければ使われません。
経営が前向きな言葉を発していても、会議に出ず、数字の見方や責任の所在を示さなければ、現場は本気になり切れません。
つまりDXは、システム導入の話である前に、組織の優先順位、役割、評価、意思決定の問題なのです。

三つの失敗に共通していたのは構造が行動を決めていた


前回までにご紹介した三つの失敗事例について、

一つ目は、経営目標と施策がつながらず、優先順位の構造が変わらなかった。
二つ目は、経営が会議に出ず、責任と数字が共有されず、意思決定の構造が現場任せのままだった。
三つ目は、分析が業務や評価に組み込まれず、評価の構造が変わらなかった。

どの事例でも、個々の担当者の能力が無かったわけではありません。
やる気がまったく無かったわけでもありません。
ツールが極端に不便だったわけでもありません。
それでもDXが進まなかったのは、人が活動する組織の構造が変わっていなかったからです。
人は、

優先順位の高い仕事を行い
評価される行動を続け
責任と意味を理解した上で仕事に本気になります。

逆に言えば、その条件が揃わなければ、どれだけ正しい活動でも、どれだけ便利なツールでも、組織の中では「そのうちやること」に位置付けられてしまいます。

「構造」の問題は目に見えないが最も重要な問題である


「構造」という言葉は、非常に抽象的な言葉ですが、組織にとってはまさしく根幹にあたることで、例えば、次のような問いによって具体的に明らかになります。

  • その取り組みは、経営目標のどこに結びついているのか?
  • 誰が最終的に責任を持つのか?
  • 現場の役割はどう変わるのか?
  • 会議ではどの数字を確認するのか?
  • その行動は、評価や期待とつながっているのか?

この五つが曖昧なままでは、DXは続きません。

なぜなら、現場にとっても経営にとっても、その取り組みの意味が日々の行動につながらないからです。
「構造の問題」とは、日ごろの仕事とかけ離れたことではなく、毎日の会議、毎月の評価、日常の業務分担の中にある問題です。
そしてそこを変えない限り、DXを成功させることは難しいのだと思います。

構造を確認・変えるにはどうすればよいのか?


では、どうすれば構造の問題に着手し、変えることができるのか。

構造を変えるという事は、会社の優先順位、役割分担、評価の基準、会議体の運営、意思決定の流れなどを変えることで、非常に困難で労力を必要とすることです。

例えば、経営目標はあっても戦術がない組織なら、まずはDXを戦術として位置づけて戦術を企画・検討する必要があります。

データはあるのに分析が行われていない組織なら、分析の目的を定め、業務として定義し、役割と評価を設計する必要があります。

経営層が前向きでも現場任せになっているなら、経営がレビューし、数字を確認し、責任を持つ役割と会議体を先に作る必要があります。

構造に手を付けなければ、DXは絶対に進みません。
構造が整えば、DXは定着化し、大きな成果が実ります。

とはいえ構造を変えることは非常に困難


とはいえ、構造を変えることは非常に困難です。

組織の構造は、組織文化を生み出すため、構造を変えるという事は組織文化を変えるという事にもつながります。

それこそ、文化を変えることは至難の業です。

では、

どうすれば構造を変えることが出来るのか?
具体的に何から着手し、どう進めれば構造を変えることが出来るのか?

次回から、構造の変化に取り組んだ、いくつかの例をご紹介したいと思います。

まとめ:DXの推進に行き詰まりを感じている方へ


繰り返しになりますが、DXはツールやシステムの問題ではありません。

経営や組織を変革する姿勢が無ければDXは進みません。

DXに取り組みたい
取り組もうと検討している
取り組んでいるけれど上手く進まない

など、DXの推進に行き詰まりを感じている方は、ぜひご相談ください。

私たちの失敗から得た経験が、きっと何等かのヒントになるはずです。

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