はじめに:問い合わせは“資産”にも“ノイズ”にもなる
― 営業リードの一次選別を自動化する実践アーキテクチャ ―
企業Webサイトの問い合わせフォームには、次のように日々さまざまな内容の問い合わせが届きます。
- 本気度の高い商談相談
- 情報収集段階の質問
- 営業メール・ダイレクトメール
- 採用問い合わせ
- 無関係なメッセージ
特に最近では、営業に関するメールが非常に多く届くことがあるかと思います。
これらの問い合わせをすべてを人手で確認し、商談に結び付きそうな問い合わせだけを選別し、顧客管理システム(CRM)や商談管理システム(SFA)に見込み顧客として登録するのは非常に非効率です。
そこで今回は、CRM・SFAとしてHubSpotの活用を例に、
Power Automate × ChatGPT × HubSpotを組み合わせた
「問い合わせ商談判定自動処理」
の実装例を紹介します。
前提条件
まず、今回ご紹介する実装例の前提条件として、下図の通り、ホームページにはHubSpotで作成した問い合わせフォームが埋め込まれており、ホームページで問い合わせが送信されると、その内容がHubSpotに格納される仕組みになっていることが条件となります。
HubSpotの導入やHubSpotの問い合わせフォームの作成、ホームページへの埋め込みなどについては比較的短期間で構築できますので、よろしければお問い合わせください。
全体の処理の流れ
今回の例の処理の流れは次の通りです。
処理の流れ:
- ホームページに設置されているHubSpotフォームから問い合わせを受信(HubSpotに問い合わせ内容が保存される)
- Power Automateが定期的にHubSpotから問い合わせデータを取得
- 取得した問い合わせ内容をChatGPTに送信し「商談案件かどうか」判定
- ChatGPTが商談案件と判定した場合、HubSpot内の問い合わせ送信者(コンタクト)のリードステータスを見込み顧客等に更新
- 商談見込みの問い合わせが来たことを営業担当者へ自動送信メールで通知
この処理の流れで注目すべき点は、3.の部分で、これまで人が判断していた作業をAIに任せている点にあります。
つまり、今回の自動処理の例は、単なる自動処理ではなく、AIによる意味判定を含む業務の自動化となります。
Power Automate実装フローの抜粋
上記の処理の流れを実際にPower Automateのフローで実装した画面の抜粋を図に示します。
抜粋で示している部分が、全体のフローの中でもポイントとなる部分で、それぞれ次の様な処理を行っています。
- Power AutomateのHTTPコネクタを利用して、HubSpotのWeb API(クラウドサービスの機能を呼び出す仕組み)を呼び出し、一定期間に受信した問い合わせを取得
- 1.で取得した問い合わせの中から、問い合わせの本文(Message部)を抽出
- 2.で抽出した問い合わせ本文をPower AutomateのHTTPコネクタを利用して、ChatGPTへ送信
- ChatGPTが判定した結果(商談案件である/商談案件では無い)を受信
- 商談案件と判定された場合、Power AutomateのHTTPコネクタを利用してHubSpotのWeb APIを呼び出し、問い合わせに該当する問い合わせ送信者(HubSpotのコンタクト)のリードステータスを見込み顧客として更新
- 商談見込みの問い合わせが来たことを営業担当者へメールで通知を送信
特に重要なポイントとしては、1.、3.、5.の手順で、Power Automateでは、
Web APIを提供しているシステムの機能を呼びだすことができ
ChatGPTはWeb APIを提供しているので業務プロセスの自動処理の中にAIの処理を組み込むことができる
という点です。
つまりこの実装例は、様々な業務の流れの中で自動的にAIの機能を取込み、日々の煩わしい判断や作業をAIと自動処理に任せることが出来ることを示しています。

1.お問い合わせ取得
2.お問い合わせ本文抽出

3.ChatGPT判定依頼
4.判定結果受信
5.HubSpot更新
6.メール通知
素朴な疑問:このような処理はすぐに実装できるの?
上記の様な処理は、それほど複雑な業務処理ではありません。
下記の通り、非常にシンプルな処理です。
- 問い合わせを取得
- 問い合わせの内容が商談案件か判定
- 商談案件と判定された場合、見込み客としてステータスを更新
この様なシンプルな処理の実装は数日、システム環境や業務条件が整っていれば1日で実装できることもあります。
重要なポイントは、今回の実装例は、「既存のシステムをつなぎ合わせる仕組みを作っているだけ」で、この様な仕組みを構築するためには、あらかじめ業務システムを導入しておいたり、業務ルールを整備しておくという点にあります。
まとめ:業務の自動化とAIを組み込む価値
今回は、CRM・SFA(HubSpot)に届いた問い合わせ内容をAIで自動判定し、商談案件の場合のみCRM・SFAのステータスを見込み顧客へ変更し、営業担当者に対応を促すという自動化の例を示しました。
この例で認識すべき重要なことは、
- 日々の細々とした煩わしい作業や判断を”仕事”として捉えるのではなく、効率化・自動化できないか?と考える意識を持つこと
- 日々の煩わしい作業や判断をAIに任せ効率化できるという事を理解すること
- AIや自動処理の効果を得るためには業務システムや業務ルールなどの環境を整えること
という点です。
この様な認識を組織全体で持つことによって、「煩わしいけど人がやるしかないよね」と”仕事”として捉えてしまっている生産的ではない”作業”の自動化、効率化を進めることが出来ます。
CIOCでは、お客様の状況や課題に応じて、AI活用やPower Automateなどの自動処理に関するアセスメント、導入、定着化まで全般的に対応しています。
ぜひお気軽にご相談ください。




