はじめに

Microsoft 365 Copilot や Copilot Studio を導入したものの、「思ったほど効果が出ない」、「一部の人しか使っていない」という事態になることがあります。

一方で、同じツールを使いながら、日々の業務スピードや意思決定の質を着実に高めている会社も存在します。

この差は、Copilotの機能や操作スキルの問題ではありません。

本記事では、ツールの説明には踏み込まず、Copilotが“効く会社”と“効かない会社”を分ける構造的な違いを、組織・業務・情報の観点から解説します。

結論:差が出るのは「使い方」ではなく「前提条件」

Copilotは非常に高性能なAIですが、もちろん決して「導入した瞬間に業務が激変する魔法の道具」ではありません。

Copilotの効果は、操作方法やプロンプトの工夫以前に、導入前から社内にどんな業務・情報・仕組みが存在しているかによって、ほぼ決まってしまいます。

例えば、「この資料を要約して」、「売上データを分析して」とCopilotに指示したとき、参照できる資料が整理されておらず、どれが最新版か分からない状態だったり、Excelの中身が人ごとにバラバラな形式だったりすると、Copilotは本来の力を発揮できません。

結果として、「思ったような結果を得られない」、「結局自分でやった方が早い」という評価になりがちです。

一方で、業務や情報、システムが整っている会社では、Copilotは利用者の思考を加速させる存在として機能します。

つまり、Copilotの成果の差は「AIの賢さ」や「使い方」というよりも、会社側の準備状態の差と言えます。


Copilot効果

Copilotポイント1

Copilotの効果が出る会社は、業務そのものがある程度整理されています。

具体的には、

  • 手順が決まっている定型業務は何か?
  • 毎回判断や確認が必要な非定型業務は何か?
  • 人が考えるべき業務は何か?
  • システムに任せられる業務は何か?

といった区別が、口頭でも良いので説明できるような組織です。

例えば、月次の売上報告業務の場合、

  • どのデータを集めるのか?
  • どんな観点で集計し報告書をまとめるのか?
  • 最終的に誰が報告書を承認するのか?

などが整理されていれば、Copilotには「データ収集・整理」、「傾向の抽出・分析」、「報告内容の要約」といった役割を任せることができます。

一方で、効果が出ない会社では、業務が人に紐づいたまま属人化している傾向があります。

「どのデータを収集するか、Aさんに聞かないと分からない」、「どのような観点で分析するか担当者しかわからない」、「なぜその観点で分析しているのか説明できない」といった状態では、Copilotに渡す前提条件を整理することが困難です。

その結果、Copilotは組織の状況に応じた内容ではなく、一般論を返すだけの存在になり、業務改善につながりません。

Copilotポイント2

CopilotはExcel・Word・Power Pointと統合されたAIですが、Copilotがその機能を十分に発揮するためにはファイルが「AIにも分かる構造」になっていることが重要です。

Copilotの効果が出る組織では、Excelはセル結合が多用されておらず、1行目に項目名が配置されているなど、「構造」がしっかりと形作られています。

Word文書も同様で、見出しスタイルが使われ、章立てが明確な「構造」で作成されています。

Power Pointでは、スライドマスターとスライド構成が「構造」として形成された内容となっていることが重要です。

内容が構造化されていないファイルの場合、Copilotはファイルの内容を正確に理解できず、利用者の意図する操作をさせることが困難になります。

Copilotポイント3

Copilotは、組織内の情報を出来る限り広範囲に参照できば出来るほど、回答や生成物などが組織の情報や状況にフィットした内容になっていきます。

その様なことから、効果のある会社では、情報の置き場所が整理されており、かつ共有のルールと運用が明確に実施されています。

例えば、

  • 個人の作業中ファイルはOneDriveに保存し作業を進める
  • 組織で使う正式な資料はSharePointに保存し共有する

といった保存場所を明確にしており、「どこのファイルやデータを見れば正しい情報があるか」が整理されています。

一方、効果の無い会社では、ローカルPC、メール添付、個人フォルダ、共有サーバーが混在していたり、どこにどの様なデータやファイルを保存するかが整理されていません。

この様な状態の組織では、Copilotが参照できる情報が断片的になり、利用者が意図する回答や成果物を得ることが困難です。

Copilotポイント4

Copilot(特にCopilot Studio)が威力を十分に発揮するのは、業務の一部がすでにシステム化や自動化されている環境です。

組織内にWeb APIなどでアクセスできる業務アプリが存在していたり、Power Automateで自動化されている業務があったりする場合、Copilotは利用者の指示内容を「考える」、もしくは処理する内容を「指示する」役割に集中できます。

例えば、利用者が稟議の実行を指示した場合、「稟議の承認/否認の判断と実行を関係者に通知し、承認/否認されたら対応する適切な処理を進める」といった業務が自動化されていれば、Copilotは、その業務を起動するという「判断」や稟議の結果を利用者に「説明」するという、利用者とのUIに関する部分のみを担い、業務プロセスはシステムに任せることができます。

逆に、システム化や自動化がされていない環境では、Copilotは利用者との会話だけに終始し、業務プロセスを進めることは出来ません。

Copilotポイント5

効果のある会社は、Copilotに対する期待値が現実的です。

Copilotはあくまでも「利用者の判断を助ける」、「利用者の負担を軽くする」存在として位置付けられています。

一方で、効果の無い会社では、Copilotを「何でもこなせるAI」として捉え、「Copilotが全部やってくれるはず」という期待が先行し、少しでも期待と違うと「使えない」という評価を下してしまいがちです。

Copilotに「何を」、「どこまで」任せるのかという期待値の設計も、Copilot活用の重要なポイントです。

まとめ:Copilotは組織の“成熟度”を映す鏡

以上の通り、Copilotは、会社を一気に変えてくれる万能な存在ではありません。

むしろ、組織がこれまで積み重ねてきた情報管理や業務管理の成熟度を、そのまま結果として映し出す「鏡」のような存在です。

効果が出ない場合、それはCopilotの導入や利用を失敗したわけではなく、組織の情報や業務管理の改善すべきポイントが可視化された結果と捉えることができます。

Copilotを評価する前に、自社の前提条件を見直すこと。

それこそが、Copilotを“効果のあるAI”に変える第一歩です。

CIOコネクティッドでは、お客様の状況や課題に応じて、AI活用の検討やCopilotの導入に関するアセスメント、導入・定着化まで全般的に対応しています。

ぜひお気軽にご相談ください。